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一年生になったら [ことば]

 駅前通りにはいつも音楽がながれている。
 童謡である。
 歳時記のように、時季おりおりの歌がながれる。

 そのなかでただ一曲、気にいらない歌がある。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。

 おとなは嘘をおしえる。
 いや、嘘をそのままうのみさせる。

 百人のともだち。
 それがそもそも可能なことなのだろうか。
 たとえ百人できたとて、それが素晴しいことなのであろうか。

 わたくしはそうはおもわない。

 ともだちは、百人もできないし、
 ともだちは、百人もいらない。
 そもそも、ともだちは数を問う性質のものではない。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。

 ことしもどこかで歌われるのだろう。
 なにもしらぬまま、子供たちはおとなにおしえられ、おしえられるまま子供は歌う。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。

 一年生諸君。
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだちはなかなかできないかもしれないけれど、
 ともだちになってもらうように努力してみてはどうだろう。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだちが悲しんでいたら、
 そうっとそばに寄りそってあげてみたらどうだろう。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 きみとともだちになりたがっている子がいたら、
 その子と握手でもしてみるといい。
 にこっと笑ってみるのもいいかもな。
 ともだちができなくって悩んでいたときのきみ自身のことを、
 おもいだしてみるのもいいだろう。



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