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ばあちゃんとぬかストーブ [わがまち士幌]

ばあちゃんは、むかし家のうらを鬼があるいていたといった。
おさないわたくしはうたがいもしなかった。
鬼はいる。
そうおもっていた。
だから、そもそもがうすぐらい、うらのほうがどこかあやしげでこわかった。

厠(かわや)は家に近接し、そとにあった。
新聞紙か蕎麦色のチリ紙が右まえにおかれていた。
風呂もべつむねで戸と戸は7,8mはあっただろうか。
風呂に脱衣所などはない。
母屋で脱いで駆けていく。
冬はまるで津軽海峡であった。

暖は、材木を製材するさいにでる木くずをもやす、ぬかストーブであった。
いっぱいのぬかがすこしずつおちてくる設計であった。
木だからあたたかい。が、
ぬかがなくなると、容器ごと交換しなければならない。
容器は直径50㎝くらいであったか、かたちは円筒型であった。
それを窓をあけてかえるのである。
一瞬にして暖は寒にかわる。

玉置浩二さんの歌メロディー。
あのころは、なにもなくて
それだって楽しくやったよ
わたくしはそのところを耳にするたび、なみだがうかんでしまう。
めんどうくさかったことはおぼえていない。
寒かったことなど記憶にない。
なつかしさしか、おぼえていない。





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